摂食症(F50)患者数の推移 1984–2023

出典: 厚生労働省 患者調査 傷病別年次推移表 / 推計患者数(単位:千人)

4.1千人
2002年 総患者数ピーク
(外来急増期)
95%
女性患者比率
(全国疫学調査 2014-15)
+27%
COVID後の急増
(2017年比 2020年)
2.1千人
2011年 入院患者ピーク
(重症化・慢性化の進行)
総患者数
入院患者数
外来患者数
🌱 黎明期 1984–1993

ANが診断されはじめ、急速に認知が広まる

患者調査では0.6千人から0.9千人と微増。ただし当時は診断体制が整っておらず、実態よりも大幅に過小評価されている可能性が高い。西洋の摂食症概念が日本に輸入されたのはこの時期。

Nakai Y et al. (2021) — 日本の摂食症は1700年代から存在し、西洋とは独立して発展。1960年代以降AN診断、1980年代以降過食・排出型が急増。
📈 急増期 1996–2002

外来患者が急増、ピークへ

1.9千人(1996年)→ 4.1千人(2002年)と3年ごとの調査で2倍以上に増加。外来が2.8千人と突出。社会的認知の向上と受診行動の変化が反映された可能性。神経性過食症の増加が寄与。

1998年 厚生省特定疾患調査: AN 12,500人・BN 6,500人(年間受診者)と大規模化が確認される。
⚠️ 安定・重症化期 2005–2019

外来減少・入院増加、重症化が進行

外来は2.8千人ピークから1.0–1.3千人へ半減する一方、入院は1.6→2.1千人と増加。治癒ではなく「慢性入院」が増えた可能性が高い。Harada et al.(2021)は30年で初診BMIが14.0→13.4と有意に低下し、重症化していることを報告。

Harada T et al. (2021) Int J Eat Disord — 日本のAN制限型996例を3コホートで比較、30年間で重症化・発症年齢の拡大・治療遅延化を確認。
🦠 COVID急増 2020–2023

COVID後に急増、2021年度も高止まり

2020年に3.8千人(前回比+27%)。ただし2020年から算出方法変更(診療間隔上限30日→98日)。国立成育医療研究センター26機関調査では初診外来+60%・新入院+40%を記録。一部施設では病床充足率300%超。

Fukuya Y et al. (2025) Medicina — 中断時系列解析。7–14歳でCOVID後の新規AN診断が最大増加(0.74→1.13件/月)。Kurisu K et al. (2022) — 東大病院 ED患者 45%増加。
⚠️ データの注意点 ①患者調査は3年ごとの調査日1日の断面データに基づく推計であり、実際の年間患者数より低く出る傾向がある(特に外来)。②2020年(令和2年)より総患者数算出方法が変更(診療間隔上限 30日→98日)されたため、それ以前のデータとの単純比較は不可。③F50(摂食症)の推計患者数は、受療率の低さにより実態を大幅に下回ると考えられる(日本の全国疫学調査での医療機関受診患者数は推計2.4万人だが、未受診者を含めると「数十万人」と推測されている)。